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十八日目 中国 昆明、石林 恐怖の石群、さよなら中国 バスの時刻朝は早く起きて、世界遺産の石林に行こうと思っていた。しかし、朝起きるのが8時頃になってしまって、 ネットで得た情報では8時頃に電車が来るらしく間に合わない。 仕方ないから、窓口に並んで待つしかない…と、行列に並んでいて、あと二人ほどで順番になったとき、 窓口のカーテンが次々に閉まっていく。何を!? と思っていると、どうやら15分間の休憩のようであった。 時間がきたらどんなに並んでいようが仕事はしない。さすがである。客はひたすら待つしかできない。タバコの煙に大きく咳をしてやりながら待つ。 やっと順番になって、今〜17:00までの間で、昆明←→石林の往復チケットをくれ、と紙に書いて窓口で出渡す。 中国の窓口も、もうすっかり慣れたものである。ちゃんと11:50発の昆明行き19元の切符を買えた。 しかし、石林→昆明駅の切符はもらえず涙。なんで〜。その駅でしか買えないのか? ウェブで見た情報によると、15時半頃に仕方ないから、駅に着いたらすぐに切符の確認をしよう。 石林までは、30分くらいかな、と考えていたら、なんと二時間もかかってしまった。時間がかかればかかるほど、切符が買えるのか心配になる。 着くまでの間、不安でイライラしっぱなしであった。でも、天気は快晴で、電車からの眺めは極めて良かった。のどかな田園風景がずっと続くのだが、 普通の田んぼや畑に過ぎないのに、なぜか荒廃した部分があまりなくて、ほとんどがきちんと整備されており、絵のようにきれいだった。 土の色が、普通とは違っていたこともそう感じさせる一因かもしれない。普通の茶色もところどころにあるのだが、ほとんどが、煉瓦色とでもいうような濃い赤と、オレンジが混ざったような色だった。それが、空の色と草の色、作物の色にすごくよく似合っている。ときどき山が崩れている部分があったが、 その後に見える地層はきれいな赤オレンジ色だった。春だからなのか…とも思った。思った後、急に感動した。なぜなら日本にいる私は、物心着いたときからひどい花粉症に苦しめられているだけで、春を良い方に感じることなんてほぼなかったからだ。 やっと着いた石林のホームは、人影もまばらで、ここが本当に世界遺産の観光地なのか、と疑いたくなるような駅だった。なにはともあれ切符を買わなければ…と思い、近くにいた女の駅係員さんに訪ねてみた。すると、なんと石林から昆明への便は20時半頃のものしかないと言うではないか。これでは、せっかく取ったバスのチケットをキャンセルしなければならない。仮にタクシーで帰ったとしても、バス代以上の金額がかかる気がする。他にバスとか何か、方法はないものか。とにかく外に出てみよう。駅を出ればきっと白人さんがわんさか…とも思ったが、やはり誰もいない。観光客らしき人間など私一人くらいなもんで、他は農家のおじいちゃんやおばあちゃん、というような風貌な人ばかり。 昨日ネットで得たばかりの情報だったが、石林とは人間の2、3倍の高さはあるでこぼこした岩がそこら中にあり、まさに石の林のようだから石林、という。かくれんぼには最適の場所である。しかし、私一人をすっぽりと覆い隠して周りが見えなくなってしまうようなところに入っていくのは怖い。万が一迷いでもしたら、戻ってこられなくなったら困る。それより今夜のバスは…どうしよう。そんなことばかりを考えていたため、シーズンのせいなのか人気のせいなのかはわからないが、世界遺産ほぼ独り占めの状況でも、周りを楽しむ余裕などなく、葛藤しながら道を歩いていた。触り程度の最初の石林を抜けると、アスファルトが見えていた。太陽の光を、石たちは全力で反射させているように見える。中国もこの地域まで来るとさすがに暑い。石の林の中、普通の汗なのか脂汗なのかわからないものをぬぐう。アスファルトをしばらく歩いても、お店らしき物もなければ、人もいない。たまに車が通りかかると、そのたびに止まって、何か話しかけてくるが、相手にしていられる状態ではないので全て無視。もしかしたら、何か善意で声をかけてくれる人もいるかも知れないけど、ごめん、今それどころじゃないのよ…。ヒッチハイク?! なんて思いもふっとよぎるが、殺された女性などを思い出すとそんな勇気は出なかった。そんなこんなで、駅から出て輪を描いて戻ってきたのだが、途中から馬車とすれ違うことが多くなった。やはり何人かは観光客もいるらしい。と、いうよりも、駅に戻ってわかったのだが、私は入り口から出てきたらしい。どうりで誰もいなかったはずだ。まあ、そうは言ってもほとんどいないし、馬車なんかに乗れる気分でもないがな…。 結局バス停らしき物も見つけられず、タクシーもおらず、駅に戻るしかなかったわけだが、20時半のものを買う前にもう一度時刻表を調べてみた。すると…15時20分発の昆明行きがあるではないか!! なんか、こういうことって中国ですごく多かった気がする。思い返してみても。まあ、通じる言葉を持たない以上、逆切れはしたくないが、やはり最後まで自分の力でなんとかするしかないのだと思った。さっき教えてくれた人からその15時20分発の切符を今度は8元で買って、チケットゲット。何で8元? と思ったが、そこにはウー(ないと言う意味)座と書いてある。ああ、席がないのね…。 その後、チケットを手に入れて安心したお馬鹿さんは、馬車に10元といわれたので思わず乗ってしまった。馬車は馬糞にまみれて、遅いし、ぎしぎし揺れてちっとも快適ではなかった。しかも、馬の名前なのかなんなのか、オヤジは馬の扱いに苦労しながら、「チェロ!!チェロ!!」と必死で格闘してばかりいた。馬、全くやる気ねー。私から見てもわかるくらいだった。たまに走り出すがすぐに歩き出したり、明後日の方向に行こうとしてしまう。しかし、坂を下りきったところで急にオヤジがメモとペンを貸せ、というので貸したら、なんかよくわからんことを書いてきた。十中八九、追加の料金を取ろうとしているのだろう。顔にはめちゃくちゃ愛想笑いを浮かべている。観光客を相手にしている人が客に伝える必要のあるもの、それはただ一つ、金。どこからきたのか? なんてそんなことを必死で伝えようとしないだろう。しかし元、とは最後まで書かないところが気になったが、意味がわからなくて馬車を降りることにした。幸い馬の速度が遅かったため、さっき一周した道路の途中だっただけだったからだ。やっぱりこうなったか。どうせこうなるとは思ってはいたんだよ。私は昔、悪質なのに遭遇したことがあるため、必要以上に警戒心が強くなってしまうのだ。だったら乗るなよ!!とあなたは思うだろうが、私も本当にそう思う。何で乗ったんだろう、本当バカ俺…。すると、後からオヤジは着いてきて、乗れ乗れ、という。乗ったらどうせ、今度は一度降りたから払え、というんだろうがよ〜、とか思って無視していると、お金いらないから乗れ!! というようなことを言ってきた。まあ、そこまで言うんなら仕方ないかな、とまた乗りこんだが、下ろされたときに喧嘩になる覚悟をし、これ以上は一銭も出さない覚悟で降りたら、そのまま引き留められなかった。それどころかオヤジは「チェロ!!チェロ!!」と馬の制御に必死だったので、私どころではなかったようだ。後でネットでオヤジが何を書いてあったのか調べようか迷う。できることなら、どこから来たのか? というものであってほしかった。調べない方が希望がもてるだろうか。 帰りの電車が遅い理由は、座席がないだけではなかったらしい。なんとSLだった。蒸気機関車である。汽車は、汽笛を鳴らしながら進む。しかも各駅停車である。そして、何と最後の車両には二等のような場所があって、席が横にあるだけでそこだけ治安の悪そうな場所があった。トランプをしていたり、汚い格好の人が寝ていたり。何しろさっきの車両までいたるところにいた女がいないのが不思議な雰囲気。幸い席が空いていたので、私もそこにいることにした。そこで駅で買ったインスタント麺を食べて、人々を観察してみたり。何個目かの駅に止まって気がつく。まずい…。来るときに直通で二時間もかかっているのに、このままでは何時に着くかわからない…。 着いたのは18:50であった。全速力で昆明駅からバス停まで走る。五分くらいで着いた。目的のバスがなかなか見つからず焦ったが、人に聞き聞きなんとか間に合った。スリープバスというだけあって、一人一人に専用のベッドがある。しかし、席に座りながら隣に遠慮したり手すりの奪い合いを行うよりもこちらの方がずっと良い。さあ、明日はいよいよ中国を抜けられる。いろんなことがあったけど、やっぱりここでも、なんだかんだといつも人が助けてくれていた。ありがとう、そしてさようなら、中国よ。今はただ、中国から抜けられることが嬉しかった。 戻る 旅行記目次 次へ |